日本選手に足りないのは
ラリーで打ち負けないパワー

 世界選手権ザグレブ大会の結果が出ました。すべての種目で中国人どうしが決勝戦を争うという、予想どおり中国勢の圧勝でした。しかも、女子の決勝戦は郭躍(優勝)対李暁霞(準優勝)という若手どうしの対決で、中国の新旧交替はじつにスムーズに機能しており、まだまだ「卓球王国・中国」はこれっぽっちもゆらぎそうにありません。
 では、日本勢はどうだったでしょうか? まず男子で特筆すべきは、シングルス1回戦で松平健太がコルベル(チェコ)を破ったことでしょう。この結果を見ることで、彼や日本男子のグローバルレベルがどのあたりになるのか、おおよその見当がつきます。日本男子はヨーロッパのトップレベルには、けっしてひけをとらないということです。しかも、松平はまだ16歳の高一で、水谷は17歳ですから、2年後の世界選手権横浜大会の展望が明るいことはまちがいありません。
 そして、今回の大会の金星は、男子ダブルスで水谷・岸川組が、3回戦で馬龍・ハオ帥組(中国)に勝ったことでしょう。筆者(秋場)は今回の世界選手権の模様を、地上(テレビ東京)と衛星(スカパー)というダブルの電波で連日観戦しました。日本女子が勝ち進んでいれば、おそらく男子の試合は地上波では放送されなかったはずで、皮肉にも日本女子が早く敗退したため、この男子ダブルスの一戦や、次の水谷隼・岸川聖也組対王励勤・王皓(準優勝)の一戦も観ることができました。
 この中国ペアを破った3回戦のたたかいぶりを観ると、水谷の踏み込んでのドライブ、岸川のパワー系バックハンドは、中国選手にも十分に通用することがわかりました。ただし、次戦の王励勤・王皓組との一戦では、2ゲームを獲ったものの、完全に力負けしていました。ラリー戦で、完全にパワーで圧倒されていました。
 木村興治さんがインタビューで話されたとおり、相手のパワードライブを防戦するのではなく、カウンターで応戦しなくては、このレベルの相手には太刀打ちできないことがはっきりしています。それには、やはりフィジカルの強化が必要でしょう。
 また、期待の日本女子は、女子ダブルス、シングルスでも、男子と同じくラリー戦で力負けしていました。平野・石川組は2回戦で北朝鮮のペアに負けましたが、ラリーになると完全に圧倒されていました。平野・石川もよくたたかっているので、北朝鮮強いなという印象を強くもちました。
 福原愛は3回戦でルーマニアの若手選手と対戦して負けましたが、これも力負け、完全にパワーで圧倒されていました。とくに福原のハーフボレー対バックハンドドライブで、この傾向が顕著に表れました。いままで、ヨーロッパ選手に十分に通用した福原のハーフボレーは、バックハンドのドライブに打ち抜かれてしまったのです。いままで、十分通用していた福原のスピードが、パワーに負けたといってもいいでしょう。この点も木村さんが話されたとおり、やはり福原はパワーを身に着けるためにも、フィジカルの強化が必要でしょう。
 女子は中国と当たるまえに、北朝鮮やルーマニアのパワーに破れました。おそらく、世界女子のグローバルはこの指向性をもっています。日本の選手、指導者もふくめて、このポイントを外さないようにしたいものです。
                                  秋場龍一

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