今回の「技術論」も、前回に引き続き当サイトに寄せられた質問メールにお答えするという形で展開してみました。
(一部「Q&A」の内容を加筆、訂正しています)


ナックル強打とナックルボールの
打ち方を教えてください……

ホームページおよびDVDを見させていただいております。6/2技術論表ソフト攻撃型の復活のポイントのなかに「4.ロングラリーでは、水平強打にナックル強打をまぜる。水平スイングよりもさらに上から下に、ボールを少し切るように強打すると無回転の強打となり、そのボールを打つと落ちやすく、有効打になりやすい。野平直孝(元・健勝苑)が、ラリー戦でよく使っていた打法です」と説明されておりますが、ナックル強打の方法がちょっとわかりませんので教えてください。
 また、相手のナックルを強打する方法についてもご教授願います。なお、相手がラケットを当てただけで、ゆっくりの高い返球をしてきたとき、思いっきり打ち込むとネットしてしまいます。ナックルか下切れになっているのでそのようになってしまうのでしょうか。良い解決策がありましたら教えてください。
 私は現在左利きでラージボールにてペンホルダー表ソフトのラバーでドライブを多用しておりますが、今回の技術論ではネットより高いボールはカット、ドライブ、ナックル性に限らず水平スイングでオール強打する。台上の短いナックルや切れたボールはフリックで攻めるとのことですが切れた球でも球の45度辺下を角度打ちのように面を少し上に向けて脇を締めて水平スイングで肘を支点として打つようにDVDでは見ましたが、あまり威力がありません威力のつけかたとフオアに切れた短いレシーブがきた場合のストレート打ちを教えていただければと思います。
 色々質問してしまいましたがよろしくごご教授願います。

A まず、ナックル強打についてです。この打法は、水平強打ができる人なら、比較的簡単にマスターできるでしょう。水平強打は飛んできたボールの高さにバックスイングをもってきて、そこから水平に打つわけですが、ナックル強打の場合は、飛んできたボールと同じ高さからバックスイングをとるのは水平強打と同じで、ミートする瞬間にすこし下の方向に押し込むように打ちます。この表現がむずかしいのですが、水平強打しながらカットが入るというか……。この打法は、対表ソフトや対前陣相手にはとくに有効な打法となります。ラージボールではあまり試したことはないのですが、40ミリよりも効果的な打法になるのではと思います。
 つぎに、対ナックルの打ち方ですが、これは基本的に4種類の打法があります。1つは水平打法です。ボールの斜め横(外側)をラケットを台にたいして直角にたてて、するどく強打します。この打法は、前にも述べましたようにどんな種類のボールにも対応できる「万能打法」です。
 2つ目。ナックルボールは打つと落ちやすい性質なので、ふつうのロングボールを打つよりも、すこしだけ下から持ち上げるように打ちます。
 3つ目はドライブ、つまりトップスピンでナックルの球質を無力化してリターンする打法です。まあ、ドライブも万能打法ですから、とうぜんナックルには有効です。
 4つ目はカットしてリターンするものです。ナックルにたいして強打やロング打法でリターンする自信がないとき、あるいは時間的に余裕がないときはカットしてリターンしてもいいでしょう。
 以上ですが、ここで注意すべきは、「ナックルボールには2つのタイプ」があるということです。通常、ナックルというのは「無回転」のことですが、実際には卓球ボールが飛んでくるときゆっくりとした下回転がかかったボールか、ゆっくりとした上回転がかかったボールのどちらかです。
 そして、打ち方はこのボールのタイプを見きわめ、打撃スイングの軌道やラケット角度を修正する必要があります。上に紹介しましたナックル処理法は下回転タイプのナックルボールです。
 また、ツブ高ラバーを使って少し押すようにツッツキをすると、上回転タイプのナックルになります。この2つのタイプのナックルボールを見分けるのはむずかしいように思われるかもしれませんが、よくボールを見れば、ボールの飛び方のちがいがわかります。言葉で表現するのはむずかしいですが、上回転タイプはふわっと飛んできて、ボールが台にバウンドしたとき、ほんの少し、下回転タイプよりも上にはねるように見えます。この上回転タイプは下回転を打つように打つと、オーバーミスが出やすくなりますので、水平強打の場合は通常よりもさらに上から打つように、またドライブはラケット角度をかぶせて、スイングも前方向に修正します。この2つのタイプのナックルボールを打ち分けられると、ツブ高攻略は容易になります。

 「相手がラケットを当てただけでゆっくりの高い返球をしてきたとき思いっきり打ち込むとネットしてしまいますナックルか下切れになっているのでそのようになってしまうのでしょうか」

 これは、そのとおりだと思います。ゆるいボールというのは、空気抵抗に負けてナックル性(無回転)になりやすいと思います。

 「台上の短いナックルや切れたボールはフリックで攻めるとのことですが切れた球でも球の45度辺下を角度打ちのように面を少し上に向けて脇を締めて水平スイングで肘を支点として打つようにDVDでは見ましたが、あまり威力がありません。威力のつけかたとフオアに切れた短いレシーブがきた場合のストレート打ちを教えていただければと思います」

 球の45度下からラケットを入れて打つ打法は、いわば切れたボールや低いボールを安全にリターンするものです。もし、台上のボールを打つとき威力を求めるのなら、台上でも水平強打(フリック水平強打)を使うことをおすすめします。フリック水平強打は、ふつうの水平強打では肩甲骨をスイングの軸にするのにたいして、ひじをスイングの軸にして、コンパクトにするどく振りきる打法です。この打法ももちろん、ボールの斜め横(外側)をミートします。
 また、ストレートに打つには、基本的には打ちたい方向に押すようにスイングするのですが、バックスイングをクロスに打つときよりもさらに上にもってくるようします。なぜなら、ストレートはクロスよりも打てる有効面積が短くなるからです。

                            秋場龍一

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