今回の技術論はフォアハンドの「台上ドライブ」です。
 ある程度レベルが上がってくると、そう簡単にドライブできるボールを相手は送ってくれません。レシーブからドライブ攻撃しようと思っても、ハーフツーバウンドのサービスがきたり、また3球目をドライブ攻撃しようと待ちかまえていても短いレシーブで対応されたり……。
 でも、台上ドライブをマスターすれば、こんな短いボールでも、攻撃に結びつけることができます。この台上ドライブがお得意なのが、卓球王国の中国です。なかでも、北京オリンピックで金メダルのマ・リン(馬琳)は台上ドライブの名手といってもいいでしょう。男子だけではなく、中国では女子も台上ドライブをかなり意識的に取り入れています。とくに、元世界チャンピオンで北京オリンピックで銀メダルを獲ったワン・ナン(王楠)はよく使っています。



台上ドライブのコツやポイントを教えてください……

 こんばんは。いつも非常に参考にさせて頂いています。まだまだ初心者で、ついていけない部分も多いのですが、いつかついていけるようになればいいな、と思っています。この度は、特に教えてほしいことがあり、ご質問させていただきたいと思います。
 主題としては台上ドライブについてです。
私は現在、シェイク両面裏ソフトでスタイルとしては前陣をメインにカットを取り入
れてプレイしています。元々、ドライブが非常に苦手で回転がかからず、必要なときはペン持ちに持ち替えて無理矢理回転をかけているような状態です。
 この度、教員として卓球部の指導をすることになったのですが、普通のドライブなら
まだしも、台上ドライブの指導に非常に困っています。ペン・シェイク両スタイルにおけるネット際の球に対する台上ドライブのコツやポイントがあれば、是非解説お願い致します。ハンドルネーム:リュウ


 台上ドライブ(フォアハンド)について解説いたします。
 台上ドライブをマスターする前に、まず通常のドライブがしっかりできることが大切です。とくに、スピードドライブを確実にマスターすることです。なぜなら、台上ドライブはスピードドライブの応用になるからです。

 各種のドライブ打法のスイングの角度ですが、ごく簡単にいえば、ループドライブは真上、通常ドライブは斜め45度、そしてスピードドライブは30度という程度になります。(この角度はごく大雑把なものです)

 さて、台上ドライブをする上で、もっとも基本的な1つめのポイントは、45度〜真上のドライブスイングではまず台上ドライブはかなり難しくなります。なぜなら、そのような角度でスイングしようとすれば、バックスイングはその角度だけ台から下げる必要があります。
 ところが、台上ドライブをするボールといのはツーバウンドの短いもので、バックスイングを台の下に引いては、その角度から45度以上の角度で打撃スイングするとボールは当たらないということになります。

 この結果、台上ドライブのバックスイングの角度は、台よりも下げないことが必要となります。台より高い角度にバックスイングをとって、そこから少なくとも30度以下の、水平に近い角度で打撃スイングするのです。

また、台上ドライブをするときのラケットヘッドは下げてはいけません。なぜなら、下げてしまうと、台にラケットヘッドがぶつかってしまうからです。ラケットヘッドは台にぶつからないように、まっすぐかラケットヘッドを上げるようにします。これが2つめのポイントです。

 そして、ラケット角度は極端にかぶせます。もちろん、こんな角度だと、ふつうにドライブをすれば、ボールは下に落ちるか、ネットにかかってしまいます。では、どうすれば、ドライブしたボールがネットを越えて、持ち上げることができるのでしょうか。ここが、3つ目のポイントですが、ラケットの角度をかぶせた分だけ、スイングスピードを速くするのです。そうすれば、ボールは落っこちないで持ち上がるのです。

 4つめのポイントは、台上ボールというのは短くて低いボールであるため、打球するための時間が短くなります。そこで台上ドライブするには、素早いダッシュ力が必要となります。とくにバックサイドに回り込んで、大きく踏み込むときは、瞬発力が成功の鍵を握ります。

 5つめのポイントは、踏み込めないときや、時間的に余裕のないときは、下半身を使っている時間的な余裕がなく、上半身のパワーだけで速いスイングスピードを出す必要があります。そのためには腹筋や背筋をはじめ、上半身の筋力が必要となります。台上ドライブを得意とする、中国のトッププレーヤーは、かなりのフィジカルトレーニングを積んでいるはずです。

 以上、5つのポイントが、台上ドライブの基本です。こう述べれば、かなり難しそうですが、ちょっとうまくなれば、小学生でも台上ドライブはやっていますので、あまり難しく考える必要はないでしょう。また、台上ドライブはペンホルダー、シェークハンドとも基本的には共通した考えでいいでしょう。

                     秋場龍一

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