今回の技術論はパワードライブです。
「Q&A」への質問で、いちばんに多いのが威力あるドライブの打ち方です。
そこで、パワードライブについて、若干掘り下げて展開してみました。

Q こんにちは。のぶひろと言うものです。今、ドライブに威力を出そうとパワードライブの練習をしているのですが、どういうフォームで打ったら良いのかわかりません。基本的にパワードライブはどういうフォームで打ち、どのようにしたら威力が出るのでしょうか。また、バックスイングなどは下げるのかボールの延長線上にとるのか、手首をどのように使うかなどを教えてくださったらありがたいです。初めてメールと言うものを使ったのでわかりにくいかと思いますが、お願いします。    



A パワードライブとは、スピンとスピードの両方を併せ持ったドライブです。このパワードライブという名称はすくなくとも30年前には存在しなかったと思います。おそらく、スピードが出るラバー接着剤が使われだして、パワードライブと呼ばれるほどの威力あるドライブを打つプレーヤーがでてきたのでしょう。

パワードライブを代表するのは、日本では岩崎、そして吉田でしょう。ドライブの威力で渋谷、松下という日本屈指のカットマンを撃破したのは、彼ら二人だけです。中国やヨーロッパのトッププレーヤーのほとんどはパワードライブを打つことができます。
そして、彼らに共通するのが、身長の高さと筋力の強さです。

以上のことを考慮して、パワードライブについて考えてみましょう。パワードライブのポイントをピックアップしてみると

1.スピードグルーの使用
2.高い身長
3.筋力

ということになります。
しかし、スピードグルーは禁止となり、身長については本人の努力とは問題外のことです。筋力は鍛えればいくらでも鍛えることができるので、努力しだいです。ということは、パワードライブのためには筋力を鍛えることが必要ということになります。

さて、あなたのご質問の、パワードライブ、つまりスピードとスピンの両方を併せ持ったドライブのフォームについてです。

原則的にはスピードとスピンは矛盾した関係です。スピードを出すには、ラケット面を垂直に立てて水平にスイングすることが必要であり、スピンを上げるには、ラケット面を垂直に立てて上方にこすりあげることが必要です。
これはスピードを求めることはスピンを極力減らすことであり、スピンを求めることはスピードを極力減らすことである、ということがいえるでしょう。

事実、スピードドライブのスイングは押し出すようにしながらこすりあげます。これはラケット面に半分あて、ラバー面に半分あてる、という感じです。
また、ループドライブは、ラケット面に当てないで、ラバー面だけにあてるというイメージです。

では、どうすればスピードとスピンの両方を併せもつことができるのでしょうか。それはスピンをより強力にすることで、トップスピンの威力でスピードも出してしまうのです。もちろんこれは高度なテクニックと強いフィジカルが必要です。

具体的には、まずラケット面を前にかぶせます。
そして前というか、より水平に近い仰角でこすりあげるようにスイングします。
このようにしてドライブすれば、スピード+スピンのあるドライブになります。
しかし、これはふつうにドライブすれば、ボールは下に落っこちます。あたりまえです。
でも、ドライブスイングが速くなれば、ボールは落っこちなくなるのです。あたりまえではなくなるのです。

パワードライブをマスターするための練習は

1.ラケット面をかぶせて、水平にスイングする

2.スイングスピードを上げる

ということをまず意識してみることです。

では、スイングスピードを上げるには、どうすればいいのか。それは

3.まず、下半身の体重移動がもっとも重要です。右利きなら、右足から左足へ。

4.伸び上がる、跳躍力・屈伸力のスクワット的な瞬発力を利用します。

5.腰の回転力

6.ラリーにおいて打球時間に余裕がないときは、上半身の力に頼ることになるので、背筋と腹筋力を使う。


という点を意識することが必要です。

ご質問のバックスイングは、カット打ちなど時間的な余裕があるときは大きく後方・下にとってもいいのですが、対攻撃型では、時間的な余裕がないことが多いので、バックスイングは小さくして、あまり下げないで、インパクトからフォロースルーで威力を確保するようにしたほうが実戦的でしょう。

もちろん手首やグリップは柔らかくしてスイングの方向に向けるようにするといいでしょう。また、バックスイングのときに、手首の角度を自由に操る、つまりラケットの先端を上げたり、下げたりすることで、カーブドライブやシュートドライブも打ちやすくなります。



卓技研・秋場龍一

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