ペンにできて、シェークにできないこと、
シェークにできて、ペンにできないこと


Q はじめまして HunterPigeonです。卓球技術研究所を参考にさせてもらってます。
僕は今大学1年で卓球部に入って2週間で右シェークドライブ攻撃型です。卓球歴は3年で、中学のときにカットマンをやっていました。攻撃は教わっていなかったので今はほとんど初心者のようなものです。
最近思いっきりラケットを振りぬくバックハンドスマッシュができなくて悩んでいました。ミートが全然できなくてボールがラケットの角に当たったり、ちゃんと当たってもホームランになってしまったりでまったくと言っていいほど打てる気がしません。
しかしなぜかまだ卓球を教わってなくて遊びで卓球をやっていた小学生のときにバックハンドスマッシュが打てたのです。そのときは確かペンを使っていて腕を思いっきり振るバックハンドでした。今考えるとシェークの振るバックハンドスマッシュはペンと比べてかなり難しいように感じます。ペンなら簡単にできそうな気がします。
そう思うと、ペンを使うことに興味がわいてきました。バックハンドだけではなくフォアハンドでも水平打法による全力スマッシュや角度打ちなどはペンの方が全然やりやすそうだなと思えてきました。しかもペンにはミドルの弱点がありません。サーブもシェークよりペンの方が出しやすいです。そして僕の場合、ペンの弱 点であるはずのバックハンドがシェークよりペンの方が全然やりやすいのです。そうやって考えていくとペンって意外と強いんじゃないかって思うようになりました。
さらに僕は性格的にも不器用なことなども考えて卓球王国連載の漫画Doublesの主人公大河のような戦い方が自分にあってるんじゃないかと思えてきました。もし僕がペンに転向するとしたら、日ペンで裏面は使わず裏ソフトで水平打法や角度打ちを多用する表ソフト前陣速攻型に近い戦い方をしたいと思っています。名前をつけるjなら両ハンドスマッシュ攻撃型ってところでしょうか。

というわけで前置きが長くなって申し訳ないですが、質問です。シェークにできてペンにできないこと、ペンにできてシェークにできないこと、シェークの利点、ペンの利点を教えてください。
また、ペン裏ソフトで表ソフト前陣速攻型の人がやるような角度打ちや水平打法によるスマッシュはできるでしょうか。また、できるとしてそれはどれくらい難しいことなんでしょうか。
また、ペン裏ソフトで裏面を使わない両ハンド前陣速攻型のような選手で世界で活躍してる方はいますか? また、いないとしてそれは現実的に実現可能ですか?
長文失礼しました。回答よろしくお願いします。

A まず、「シェークにできてペンにできないこと、ペンにできてシェークにできないこと、シェークの利点、ペンの利点を教えてください」についてです。

ペンの最大の弱点は、バックハンド強打とバックハンドドライブでしょう。ロングボールならペンでも振るバックハンドは十分できますが、前陣でシェークのようにハーフボレーでの強打がやりづらいことです。ペンだとどうしても、プッシュになってしまいます。シェークは回転を利用して振りぬいて強打できるので、ペンのプッシュよりはるかに強力です。

また、バックハンドドライブがペンの表面では、ほぼ不可能でしょう。まあ、やろうと思えばできなくはないでしょうが。実際の試合では、バックサイドにツッツキ系のボールがよく飛んできて、それを攻撃するというか、自分からそのボールを起こす(先手を取って攻める)ことが試合を有利に運べるポイントになるのですが、その点ペンは不利なのです。

そして、以上のペンの不利を解消する手段として開発されたのが裏面打法です。裏面打法では、以上のペンの不利な点をカバーすることができます。とはいっても、ペン裏面打法はシェークとは違って、手の向きが逆で、威力と安定度から、やはりシェークのバックハンド系技術のほうが身体構造的には合理的でしょう。

しかし、ご存知のように、現在、男子世界ランクの1位と2位は裏面を駆使する中ペンです。

シェークに不利な点は、台上処理やサービスなどの細かい技術、フォアミドルにラケットが出にくいなどですが、やはり日本人というか、東アジア人の身体感覚はシェークは馴染みにくいでしょう。ナイフとフォークと箸の食文化の違いと同じように、です。

また「ペン裏ソフトで表ソフト前陣速攻型の人がやるような角度打ちや水平打法によるスマッシュはできるでしょうか」とありますが、十分可能です。ただ、裏ソフトで粘着性や柔らかいものはボールが引っ掛かりやすく、できれば硬めの裏ソフトを使うことをおすすめします。

つぎに「ペン裏ソフトで裏面を使わない両ハンド前陣速攻型のような選手で世界で活躍してる方はいますか? また、いないとしてそれは現実的に実現可能ですか?」とありますが、うーんどうですか? いますかね。見当たらないようですね。

ただ、現実的に可能かどうかといえば、それはまったく可能でしょう。というより、それをやるプレーヤーしだいでしょう。私は、ペン、シェークとも、ドライブと強打を使い分けることができる前陣速攻型が、これからの時代、優位になると思います。日本の松平健や丹羽の卓球が、その格好のモデルになると思います。

ペンで勝ち抜いていくには、前陣バックハンド系技術を表面で攻撃的にすることです。そのためには、ショートやプッシュだけではなく、ヒジを軸にして小さく回転しながら、振りぬくペン表面・コンパクトバックハンド技術の獲得です。そして、この技術は強打にもドライブにも適用できるように訓練するのです。これができれば、ペンは世界を凌駕するでしょう。

そして、ペンもシェークもこれからの時代、反応時間の俊敏さと瞬時の攻撃力、つまり動体視力と、瞬発性のある背筋力と腹筋力が要求されるでしょう。


卓技研・秋場

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