最近グリップに関する質問が増えています。今回は「卓球少年」さんの質問にお答えすることで、卓技研のグリップにたいする基本的な考えを展開しました。


Q いつも質問に答えていただきありがとうございます。最近は基本の大切さに気づき、毎日基本練習をしています。

その時コーチにラケットの握り方がおかしいと指摘されました。握り方がおかしいといくら打っても入らない事があるから直しなさいと言われたのですが、正しい握り方なんて知らなかったので 「和のシェーク」(『卓球パーフェクトマスター』で解説しています)をしてみたところ、親指を立てるのが、何かしっくりこない感じです。

握り方が決まらないと何にも出来ないので、一番基本的なものの、正しい握り方を教えて下さい。すぐにパッと握りれるようだと助かります。尚、右シェークハンドです。よろしくお願いします。 ハンドルネーム 卓球少年

 

 

A グリップですが、原則的に「正しい」グリップはありません。プレーヤー個々が、そのグリップでしっくりくれば、それが「正しい」のです。『卓球パーフェクトマスター』のグリップのページでも紹介しているように、ものすごく極端なグリップでも世界チャンピオンになっているのですから。

グリップを考える場合、もっとも考慮したいのは、やはりプレースタイルでしょう。極端なシェークグリップで世界王者となった長谷川信彦選手は、人差し指をまっすぐに伸ばした極端なグリップでしたが、これは長谷川さんのフォハンド主体のプレースタイルに合致したものです。フォアハンドのパワーを求めた結果、このようなグリップになったと思われます。

ですから、あなたもご自分のプレースタイルとよく相談してグリップをきめていけばいいでしょう。たとえば、前陣でフォアとバックをほぼ半々に使うスタイルなら、グリップは両ハンドが打ちやすいものにすべきです。

ここで「打ちやすいもの」としましたが、これには一定の基本的な条件があります。それはクロスにもストレートのコースにもラケット角度がだしやすいことです。

さらに、シェークの場合、フォアハンド系のスイングなら人差し指、バックハンド系なら親指が、パワーを生むために重要なポイントになってきます。なぜなら、人差し指も親指も、それぞれラケットの裏側で打球を支える役目があるからです。

フォアハンド主体の長谷川さんが人差し指を伸ばしたグリップを採用したのは、こうすることでフォアハンド系のスイングのときにもっともパワーが生まれるからだろうと推測されます。

ただし、人差し指を伸ばすことで、バックハンド系スイングはかなり不安定になります。ですから、極端なグリップになるほど、フォア面かバック面のスイングはやりやすくなったり、パワーが出るかわりに、もう一方の面のスイングはかなりやりにくくなるわけです。

卓球パーフェクトマスターで紹介した「和のグリップ」ですが、これは親指を立てて、小指を薬指にかけます。このような親指によってバックハンド系技術のパワーがアップするとともに、このような小指によってフォアハンド系技術のパワーとラケット角度を出しやすくしたのです。

フォアとバックの両面を使いやすくし、かつフォアかバックが使いづらいという欠点を少なくしたもので、和のグリップを開発した卓技研としては「上出来」だと自負しています。

ただし、グリップはいくら理論的によくても、そのプレーヤー個々のなじみ感というか微妙なフィーリングが大切です。これはシェークだけではなく、ペンにも言えること……というより、ペンのほうがもっと微妙なフィーリングを大切にしている人のほうが多いことでしょう。

以上のことを踏まえたうえで、ぜひ考慮していただきたいのはグリップの「握り方の強弱」です。重要なのは、「軽く、柔らかく握る」ということです。通常、レベルが上がるにつれて柔らかくなり、下がるにつれぎゅっと硬く握っているものです。グリップの握りの強弱が技術レベルをはかるといっても過言ではないでしょう。

柔らかく握って、しかも自分の感触にピタッと合い、さらにそれがプレースタイルと合致する、これがまあ理想のグリップというところでしょうか。

ちなみに、練習や試合でかなり集中したとき、グリップが手の一部になったような、おどろくほど手になじんでいることがあります。集中したプレー中に、しぜんと最適のグリップができあがったのです。これがあなただけの究極のグリップです。

卓技研・秋場

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